タクシー運転者の労働時間等の基準 改善基準のポイント〈厚生労働省労働基準局監督課〉から
タクシー・ハイヤー運転手の労働条件について、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」〈改善基準告示h14.4.1〉が策定されています。以下はそのポイントです。
ポイント 1 拘束時間・休息期間 (1)拘束時間 始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。)の合計時間をいいます。労働時間には運転や整備などの作業時間と客待ちなどのいわゆる手待ち時間が該当します。 (2)休息期間 勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む勤労者の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間をいいます。
ポイント 2 タクシー日勤勤務者の拘束時間及び休息期間 (1) 1箇月の拘束時間 1箇月の拘束時間は299時間以内。 なお、車庫待ち等の運転者の拘束時間は後述。 (2) 1日の拘束時間と休息期間 @1日(始業時刻から起算して24時間をいいます。以下同じです。)の拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても最大16時間以内となります。 A1日の休息期間は継続8時間以上とする必要があります。 B拘束時間と休息期間は表裏一体で、1日とは始業時刻から起算して24時間をいいますので、結局、1日(24時間)=拘束時間(16時間以内)+休息時間(8時間以上)ということです。 (3) 車庫待ち特例 @ 1箇月の拘束時間を書面による労使協定により322時間まで延長可(労使協定の例参照)顧客の需要に応ずるため常態として車庫等において待機する就労形態のタクシー運転者(「車庫待ち等運転者」といいます。)については、1箇月の拘束時間の限度を322時間まで延長することができます。 【⇒協定例】 A 1日の拘束時間を24時間まで延長可 車庫待ち等の運転者については、以下の要件の下に1日の拘束時間を24時間に延長することができます。 イ 勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える ロ 1日の拘束時間が16時間を超える回数が1箇月について7回以内である ハ 1日の拘束時間が18時間を超える場合には、夜間4時間以上の仮眠時間を与える (4) 拘束時間・休息期間の計算方法 1箇月にわたっての拘束時間を計算しようとする場合において、始業時刻が変わった日があるときは、その日及び前日の拘束時間には、重複した時間帯が含まれることになるため、計算上その重複部分を差し引く。
ポイント 3 タクシーの隔日勤務者の拘束時間及び休息期間 (1) 1箇月の拘束時間 1箇月の拘束時間は262時間以内でなければなりません。ただし、地域的事情その他の特別な事情(例えば顧客需要の状況等)がある場合において書面による労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは1箇月の拘束時間の限度を270時間まで延長することができます。
(労使協定で定める事情) 【⇒協定例】 @ 1年間について拘束時間が1箇月262時間を超える月及びその月の拘束時間 A その他の事情 ・ 対象者 ・ 当該協定の始期及び終期 ・ 協定変更の手続き (2) 2暦日の拘束時間と休息期間 2暦日の拘束時間は21時間以内とされています。また、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与える必要があります。
(3) 車庫待ち等の運転者に係る特例 @1箇月の拘束時間の限度を262時間または労使協定により262時間を超え270時間以内で定めた時間に20時間を加えた時間まで延長可 A2暦目の拘束時間の限度を夜間4時間以上の仮眠時間を与えることにより、労使協定により定める回数(1箇月について7回以内)に限り24時間まで延長可
ポイント 4 時間外労働及び休日労働の限度 (1)時間外労働及び休日労働は拘束時間の限度まで 時間外労働及び休日労働は1日又は2暦日の拘束時間及び1箇月の拘束時間 ■日勤勤務者 :1日16時間以内、1箇月299時間以内 ■隔日勤務者 :2暦日21時間以内、1箇月262時間以内 (書面による労使協定がある場合は270時間以内)の範囲内でしかできません。 (2)休日労働は2週間に1回 休日労働は1箇月の拘束時間の限度内で2週間に1回の頻度でしかできません。
ポイント 5 ハイヤーの運転者の時間外労働 ハイヤーについては拘束時間や休息期間等の規制は適用されませんが時間外労働をさせる場合は、1箇月50時間又は3箇月140時間及び1年間450時間の範囲内で労使協定が必要です。
ポイント 6 賃金制度等に関する基準 自動車運転者の賃金制度等の取扱いについては、次のとおりとすることとされています。 (1)保障給 歩合給制度が採用されている場合には、労働時間に応じ、固定的給与と併せて通常の賃金(原則として、各労働者の標準的能率で歩合給の算定期間に通常の労働時間を満勤した場合に得られると想定される賃金)の6割以上の賃金が保障されるよう保障給を定めること。 (2)累進歩合制度 累進歩合制度(トップ賞、奨励加給を含む)は廃止すること。 (3)年次有給休暇の不利益取扱いの禁止 労働基準法附則136条の規定に従い、年次有給休暇を取得したとき、不当に賃金を減少させないようにすること。 (4)労働時間の適性管理 運行記録計の活用等により、運転者個人ごとに労働時間を把握し、適正な労働時間管理を行うこと。 (5)休日の取扱い 休日は休息期間+24時間の連続した時間です。ただし、いかなる場合であっても、その時間が30時間を下回ってはなりません。 なお、2日続けて休日を与える場合は、2日目については、休息期間は考えられませんので、連続24時間以上あれば差し支えありません。
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