■外国人労働者の労働条件等
Q 外国人に対する労働関係法令の取扱いは?
A 日本国内で就労するかぎり国籍を問わず、原則として労働関係法令の適用があります。
具体的には、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等については、外国人についても日本人と同様に適用されます。
また、労働基準法第3条は、労働条件面での国籍による差別を禁止しており、外国人であることを理由に低賃金にする等の差別は許されません。
なお、雇用保険については、被保険者となる所要の要件を満たす場合は、在留資格の如何を問わず原則として被保険者となります。
(労働基準法第3条)
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」
Q 外国人を雇用する際に、労働条件等で留意する点はありますか?
A 一般に外国人労働者は国内に生活基盤を有していないこと、日本語やわが国の労働慣行に習熟していないことなどから、就労にあたって問題が起こりがちです。
そのため、外国人労働者を雇用する際に配慮すべき事項について、厚生労働省が「外国人労働者の雇用・労働条件に関する指針」を策定しています。
■外国人の社会保険・税金等
Q 外国人を雇用した場合、社会保険に加入しなければなりませんか?
A 健康保険等の社会保険の適用については、外国人労働者も日本人と同様に適用になります。
そのため、健康保険、厚生年金保険の適用事業所で外国人を雇用する場合には、これらの制度の加入者となり、日本人と同様に給料に応じた保険料を納入する等の手続きが必要となります。
外国人の中には年金保険を掛け捨てになると誤解したり、保険料の自己負担分を嫌い加入をしたがらない例があるようですが、任意加入ではありませんので対象となる場合には加入しなければなりません。
なお、外国人の場合、年金保険には脱退一時金制度があります。
Q 外国人に係る税金の取扱いはどのようになりますか?
A 外国人の労働者に給与等を支払う場合、所得税の源泉徴収を行う必要があります。
源泉徴収の対象となる収入の範囲及び方法は、その者が「居住者」であるか「非居住者」であるかによって異なります。
「居住者」の場合、一般的には事業主が外国人の労働者から「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出を受け、給与等を支払う都度、扶養する親族等の数に応じて「給与所得の源泉徴収税額表」により税額を算出して源泉徴収を行った後、その年の最後の給与等の支払いを行う際に年末調整により、その者が納付すべき所得税の精算を行うことになります。
「非居住者」の場合、支払う給与等に対しては原則として20%の税率による源泉分離課税の方法により所得税の課税関係を終了させることになります。
また、住民税については、1月1日現在、居住者として日本に住んでいた場合は納税義務者となります。住民税額は、前年の所得税の課税状況を参考にして4月以降に各市町村で決定され、納税義務者に通知されます。住民税の特別徴収義務者に指定された場合は給与等を支払う際に住民税を徴収しなければなりません。
■居住形態による区分
|
住所または居所を有する期間 |
永住の意思あり |
永住の意思なし |
住所あり |
5年超 |
非永住者以外 |
非永住者以外 |
5年以下 |
非永住者 |
住所なし |
居所有 |
5年超 |
非永住者以外 |
1年以上5年以下 |
非永住者 |
1年未満 |
非居住者 |
居所無 |
― |
■課税関係
|
所得税 |
住民税 |
居住者 |
非永住 |
国内源泉所得 + 国外源泉所得で国内支払のもの |
1月1日現在、居住者の場合課税 |
それ以外 |
全ての所得が課税 |
非居住者 |
国内源泉所得 |
非課税 |
■不法就労とは
Q 不法就労とはどのような場合をいいますか?
A 不法就労とは次のような場合をいいます。
@ わが国に不法に入国したり、在留期間を超えて不法に残留したりなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動
A 正規の在留資格を持っている外国人でも、資格外活動許可を受けないで、その許可の範囲を超えて行う収入を伴う就労活動
Q 不法就労外国人を雇用した場合、雇用主に罰則はありますか? また、その内容はどのようなものですか?
A 入管法には「不法就労助長罪」が定められています。
不法就労助長罪は、
@ 事業活動に関し、外国人を雇用などして不法就労活動をさせる行為
A 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置く行為
B 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はAの行為に関しあっせんする行為
を処罰の対象とし、これらに該当した者については3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定められています。
Q 不法就労外国人とは知らずに雇用した場合も「罰則」が適用されますか?
A 不法就労外国人であることを知らないで雇用した場合には、処罰されることはありません。
ただし、不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてその可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合には処罰されます。外国人の雇用に際しては、旅券(パスポート)または外国人登録証明書等により、「在留資格」「在留期間」「在留期限」を確認することが大切です。とくに「在留資格」については、就労活動が認められる在留資格かどうか確認が必要です。
■学生・就学生のアルバイト可能時間一覧表
|
1週間の
アルバイト時間 |
教育機関の長期休業
中のアルバイト時間 |
留 学 生 |
大学などの
正規生 |
1週間につき
28時間以内 |
1日につき
8時間以内 |
大学などの
聴講生・研究生 |
1週間につき
14時間以内 |
1日につき
8時間以内 |
専門学校などの
学生 |
1週間につき
28時間以内 |
1日につき
8時間以内 |
就 学 生 |
1日につき4時間以内 |
■研修生と技能実習生の違い
項 目 |
研 修 生 |
技 能 実 習 生 |
在 留 資 格 |
研修 |
特定活動 |
資 格 の 性 格 |
非労働者 |
労働者 |
給 付 |
研修手当 |
給与 |
給 付 の 意 味 |
生活実費 |
労働の対価 |
残 業 |
不可 |
可能 |
シ フ ト 勤 務 |
原則不可 |
可能 |
雇 用 契 約 |
不要 |
必要 |
就 業 規 則 |
非適用(準拠) |
適用 |
健 康 保 険 |
非適用 |
適用(強制) |
国民健康保険 |
(適用) |
(適用) |
厚生年金 |
非適用 |
適用(強制) |
国民年金 |
(適用) |
適用(強制) |
労災保険 |
非適用 |
適用(強制) |
雇用保険 |
非適用 |
適用(強制) |
研修生保険 |
適用(強制) |
非適用 |
技能実習生保険 |
非適用 |
適用(任意) |
労働関係法令 |
非適用(準拠) |
適用 |