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通勤災害の範囲拡張

 

平成14年の調査によると、複数の事業場で就業する労働者は81万人、単身赴任者は71万人に達していて更に増加傾向にあります。これらのデータを受け、平成18年4月1日より、労災保険の通勤災害の範囲が拡張されることになりました。@複数事業場で就労する労働者の事業所間の移動中、A単身赴任者の赴任先住居(社宅など)と帰省先住居(本来の自宅)間の移動中、に発生した災害が労災保険の通勤災害として認められることになりました。

 

1.            複数事業場で就労する労働者の事業所間の移動

午前中はAという会社で勤務し午後はBという会社に勤務する場合、『自宅→A→B→自宅』という通勤(移動)経路を辿るのが一般的ではありますが、従来はAからBへの移動については労災保険法では通勤には該当せず、『自宅→A→自宅→B→自宅』という経路で一旦自宅に戻らなければ、全ての移動が通勤とは認められませんでした。今回の改正では、『A→B』に移動中の災害も通勤災害として認められることになりました。

『A→B』に移動中の災害は、B会社での通勤災害とされ、B会社にて保険給付手続をとることになります。また、休業給付など金銭による給付については、B会社から受ける賃金額のみをもって給付基礎日額が決定されます。その労働者は複数の会社からの賃金により生計を立てているのですから、A会社から受ける賃金も算定の基礎に入れるべきかとは思われますが・・・。(この件については、今後国会で再検討される予定です)

このような働き方をするのは、パートタイマーや専門職の方に多いと思われますが、通勤災害は業務災害のように会社の安全配慮義務が問われるようなことはありませんので、災害が発生した際には早急な保険給付手続きをとり被災労働者を保護することが肝要です。

 

2.            単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動

単身赴任者の場合は、従来@勤務する会社と赴任先住居間の移動、A会社と家族が住む帰省先との往復が月1回程度定期的に行われている場合について通勤と認められていました。しかしながら、これでは金曜日の勤務終了後一旦赴任先住居に戻り荷物をまとめ帰省先へ向かう場合や日曜日の晩に帰省先から赴任先住居へ戻る場合は、その間の災害については通勤災害と認められず、合理的ではありませんでした。厚生労働省によれば、単身赴任者の4分の3は1日前に赴任先住居へ戻っているという調査結果があり、今回の改正に至りました。いわゆる「単身赴任の土帰日来」も対象になったということです。

この通勤災害認定については、通勤と認められるための条件がいくつかあります。@配偶者が高校生以下の子を養育していること、A配偶者が引き続き就業すること、B配偶者が住宅を管理するため引き続き居住すること、その他いくつかの条件のいずれかを満たすことが必要です。



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