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有給休暇の消化順序

 

従業員に有給休暇の残日数を聞かれて対応に苦慮されている事業主が少なくないようです。

 

1.            有給休暇の付与要件とその日数

有給休暇は、入社日から6ヶ月間継続勤務してその間の出勤日の8割以上勤務した者に対し10日付与しなければなりません。(勤務日数の少ないパート等は比例付与)

仮に、平成19年1月1日に入社した者には、7月1日に10日付与されます。以下、

次の表のように付与日数が毎年増えていき、最高は20日です。

 

H19.7.1

H20.7.1

H21.7.1

H22.7.1

H23.7.1

H24.7.1

H25.7.1

付与日数

10

11

12

14

16

18

20

 

2.            有給休暇の時効

労働基準法115条によれば、有給休暇は発生日から2年で時効により消滅します。つまり、H19.7.1に10日付与された有給休暇を全て消化しないままH21.7.1を迎えると、そのとき付与された分の残日数は消えてしまいます。

 

3.            有給休暇の消化順序

有給休暇を1日も消化しないでH20.7.1を迎えたとすると、10日+11日=21日の残日数があります。その後H20.7.1からH21.6.30までの間に5日消化した場合、前年からの繰越分、それとも直近に付与された分、どちらの分を消化したとするかが問題となります。仮に繰越分から消化したものとすると、H21.7.1の残日数は11日+12日=23日(繰越分の5日が時効消滅)となりますが、直近に付与された分から消化したものとすると、6日+12日=18日(繰越分の10日が時効消滅)となります。

労働基準法では、有給休暇の取得順については何も触れていません。この場合、民法の規定が準用されることになります。

 

4.            消化順序は民法の規定による

民法第488条1項では、「2つ以上の同種の債務を負担する者(この場合、会社)は、返済すべき債務を指定することができる」旨が規定されています。直近に付与したものから消化するものと指定すれば、有給休暇の消化率が低い場合、会社が有利となります。

直近に付与したものから消化させるのであれば、トラブルを未然に防ぐためにも、就業規則に以下のような規定を設けておくことが望ましいといえます。

(有給休暇の消化順)

第○条 年次有給休暇は本年度に付与した分から消化するものとする。  



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