タイムカード
給与計算の際に、事務的に煩雑でまた基準があいまいになりがちなのが残業時間の計算です。そもそも労働時間はどのように算出すればよいのでしょうか。現在、出退勤の打刻の主流であるタイムカードの打刻時間との比較で解説していきます。
1. タイムカードの打刻時間
タイムカードは、機械的に出退勤を記録管理するもので、労働時間の算定においても密接な関係を持っています。原則的にはタイムカードの時間通りの打刻が労働時間とみなされてしまいます。もともと労働時間の把握とその算定は使用者に義務が課せられています。「労働時間算定義務」などと呼ばれています。つまりタイムカードの打刻時間が実際の労働時間と違うという主張をするには、使用者がその事実を立証する必要が求められます。
しかしながら、通常月例給の社員の場合には定時刻の就業時間から30分程度の僅少な時間のタイムカードの打刻は、実際に労働した事実があっても、使用者の指示によるものでない場合、定時終業と扱っても問題ないとされています。(ただし時給計算のアルバイトなどは注意が必要です。)
2. タイムカードの不正打刻
上述のとおりタイムカードは、かなりの客観性を持って扱われていますが、それゆえ不正に打刻した従業員に対してはかなり厳しい懲戒処分が判例で認められています。
昭和42年最高裁判例(八戸鋼業事件)では@会社が不正打刻について解雇で望むことを周知していた。Aその警告を知りながら不正打刻していたこと、をもって懲戒解雇に相当すると判断した例が現在まで続いています。
3. 大企業の工場など
従業員規模が数百人以上にものぼる大きなメーカーなどの場合、出勤の際に@会社の門を入門する。A更衣室に入る。B義務付けられた作業服の装着。C作業所に入る。D朝礼や体操。E作業開始などの順に労働が始まりますが、普通に考えますと、Eから労働時間と思われがちですが、正解はAからとなります。前提条件はありますが、三菱重工の最高裁判例が判示したものです。
4. 残業申告書
会社の管理手続として、「時間外勤務命令書」や「残業申告書」などを利用している職場も多いのではと思いますが、@時間外労働の手続を明確に決めAそれが制度化され運用が確立している場合においては、「残業申告書」等の手続を経ずに行った残業は使用者の指揮命令に基づかない恣意的なものとして、労働時間とみなされません。
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