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労災保険未手続事業主への費用徴収強化

 

平成17年11月1日より、労災保険の未手続期間中に労災事故が発生した場合の費用徴収が大幅に強化されます。改正後の運用は下記のとおりです。

 

1.            労災保険の未手続事業所数

現在、労災保険の適用事業であるにもかかわらず、加入手続きを行わない未手続事業所の数は54万件ほどに上ると推定されています。厚生労働省は適正に手続を行って保険料を納付している事業主との間の費用負担の公平性を確保するためにはこの現状を早急に解決することが必要であるとの認識に基づき、今回の費用徴収制度の強化を決定しました。

 

2.            費用徴収制度の運用強化の種類と徴収率

労災保険では未手続事業所であっても、労災事故が発生したときは被災労働者を保護する目的で保険給付は行われます。ただし、その保険給付に要した費用の全部又は一部は事業主から徴収されます。徴収される割合は@又はAの種類ごとに下記のようになります。

@「故意又は重大な過失により手続を行わないもの」

→加入手続について行政機関からの指導を受けたにもかかわらず、事業主がこれを行わない期間中に労災事故が発生した場合。

A「重大な過失により手続を行わないもの」

→加入手続きについて行政機関からの指導は受けていないが、事業主が事業開始の日から1年を経過しても加入手続きを行わない期間中に労災事故が発生した場合。

 

改正前(10月31日まで)

改正後(11月1日以降)

@

保険給付額の40%を徴収

保険給付額の100%を徴収

A

原則として費用徴収なし

保険給付額の40%を徴収

 

3.            労働基準法で定める災害補償

労働基準法では労災事故が発生した場合、事業主は以下の義務が法定されています。
@被災労働者に対して療養のための費用を全額負担
A療養のための休業期間中、1日につき平均賃金の60%の休業補償を行う
B被災労働者の身体に障害が残った場合にはその障害等級に応じて平均賃金の1340日分(第1級)から50日分(第14級)の障害補償を行う
C被災労働者が死亡した場合には遺族に対して平均賃金の1000日分の遺族補償を行う
 ことを義務付けています。


月給30万円の労働者の平均賃金は1万円ですから、労災事故が発生するとその補償のため事業主に大きな負担がかかります。

労災事故が発生しても、労災保険による保険給付が行われる場合には、労働基準法に定める災害補償を行ったこととされますので、会社のリスクを軽減するためにも未手続事業所は早急に加入手続をとることが必要となります。



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