労働者の解雇にあたっての留意点 4
「整理解雇の4要件」とは @業務上の必要性 A整理解雇回避義務 B整理解雇基準の合理性 C労働組合等との協議であります。そのうち「業務上の必要性」については・・・・
1. 「業務上の必要性」とは?
業務上の必要性とは、「経営上、客観的に見て、人員削減が不可欠とみなされる状況にあること」とされています。では、どのようなケースが「人員削減が不可欠」とみなされるのでしょうか。
2. 「人員削減が不可欠」とみなされる経営状況とは
これは経営者にとってはとても厳しく、社員を解雇しなければ会社が倒産してしまうという状況であります。具体的には下記のような状況をいいます。 @ 過去数年間、赤字続きで、現状のままでは今後も赤字が予測され、社員を解雇する以外には収支を改善するすべがない。
A このままの経営状況では、金融機関からの融資に影響を与える状況
3. どのような場合であっても、倒産直前まで解雇はできないのか
2.の考え方に束縛されると、会社再建が可能であったにもかかわらず、倒産により、かえって多くの社員とその家族を路頭に迷わせることにもなりかねません。
また、土地や建物などの資産を多く持つ企業は多少赤字が続いても金融機関からの借り入れが可能ですが、ベンチャー企業などは資産が少なく赤字になると即融資が受けられなくなることがあります。このような背景からか、最近では「人員削減が不可欠」とみなされる経営状況とはそれぞれの企業によって異なると考えられるようになってきました。
4. 裁判所の判断の変化
裁判所の判断も、「企業経営にともなう危険を最終的に負担するのは使用者であり、使用者の選択の幅を制約することは、かえって有効適切な対処の時期を失わせ、いたずらに解雇者の数を増加させる危険もあることを考慮すれば、『企業が高度の経営危機にあること』という要件を求めず、『企業の合理的運営上、やむを得ない必要性があれば足りる』と考えるのが相当である」というように変わってきました。
現在の経済の状況下では「業務上の必要性」については、使用者にある程度の裁量の余地が認められていると考えられます。
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