■法人代表者等の仕事中の負傷について
健康保険は業務外の事由による負傷等に対する保険給付、労災は従業員(賃金を支払われる者)の仕事中の負傷等に対する保険給付。それでは、法人の代表者等が一般従業員と同じ仕事をしているときに負傷をした場合には保険給付は一切されないのでしょうか。
今回は、労働者ではない会社の代表者等が仕事中に負傷した場合の保険給付についてまとめてみました。
1. 保険給付の対象
労災保険 |
労働基準法上の労働者に該当する者であって、労働の対償として賃金を支払われる者が対象。(労働者に対する保険であって、役員等には原則として適用されない)人を基準に判断 |
健康保険 |
業務外の事由による疾病等が対象。(負傷・疾病等の原因が仕事中でなければ、保険の対象となり、仕事中の事故等は原則労災保険)事故の原因により判断 |
※これでは役員等が仕事中に負傷した場合、何の保険給付も受けられないのでは?
2. 今後の厚生労働省の対応
以上のような事態を受け、厚生労働省は以下のような対応をすることになりました。
@健康保険の給付対象とする代表者等について
被保険者が5人未満の社会保険適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と同じような業務に従事している者については、業務上の傷病に関しても健康保険による保険給付の対象となります。
A労災保険との関係について
法人の代表者等のうち、労災保険の特別加入となっている者や労働基準法の労働者の地位を併せて保有していると認められる者の業務上の傷病に関しては、労災保険による保険給付の対象として、健康保険の保険給付は行われません。
B傷病手当金について
傷病手当金は、業務外の負傷等により仕事に就くことができず、会社を休んでいる期間、所得保障として行われる保険給付ですが、法人の代表者等は事業経営に責任を負い、自らの報酬を決定する立場にあり、業務上の傷病について報酬の減額等を受ける立場にないことから、傷病手当金は支給されません。
3. まとめ
役員自ら従業員に率先して作業を行っている会社は数多くあるのではないでしょうか。いざというときにあわないで、適切な保険給付の手続きをとりましょう。
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