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 家康と本多正信が話をしていた時、一人の若侍が来て、かねて申し上げたき儀を認めてきましたと紙を差し出した

とある会社の社長と部長が話をしていた時、一人の若い社員が来て、かねて申し上げたき儀を認めてきましたと提案書を差し出した。社長の命で部長がこの提案書を全部読み上げた。社長は一項目ごとにうなずいていたが、聞き終ると「またよい意見あればきかせてくれるように」とねぎらった。若い社員は歓喜して去った。

その後で部長が笑い出し「一項目といえども、会社の役に立つ話はございませんな」

社長は「ナルホドそうかもしれぬが、今それを無駄としてしまえば次の意見は出てこないだろう。何よりも会社のため良かれと思う親切さにこそ感謝せねばなるまい。良い意見かそうでないかの取捨選択は上の者がやればよい。そもそも彼ら小身の者は友人も多く、互いに意見を交換し切磋琢磨の機会も多い。これを小身の大益という。それに比べてわれら大身の者にはなかなか人の意見がはいってこぬものである。稀に意見を問えば『ごもっとも』という言葉しか聞けず、ついうっかりと小さな過ちに気づかぬままに時を過ごし、後に気づいたときに大失敗するものである。

これを大身の大損、といってよいだろう。小身の大益と大身の大損、この二つを思いくらべて、下の意見にはよく耳を傾けねばならぬぞ」。

部長は頭が上がらなかったという。

 



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